全てではありませんが、かなりの赤ちゃんに生後間もなく指しゃぶりの行為を見ることができます。
とくに赤ちゃん自身が何らかのストレスを感じているときに指しゃぶりをします。
赤ちゃんはママのお腹にいる時から指しゃぶりをしているので指しゃぶりそのものは何ら問題のある行動ではありません。
しかし、指しゃぶりも指があかぎれののようになって血がでてしまったりしたら可哀想です。
そこでおしゃぶりを代わりに与えたいと思うわけですが、指しゃぶりと違っておしゃぶりについては様々な立場から賛否が分かれています。
とくにおしゃぶりは百害あって一利なしといった意見までみられます。
本当にそうなのでしょうか?
素人目には指しゃぶりもおしゃぶりも大した違いはないように思えます。
そこで今回はおしゃぶりを使っても良いのか悪いのかについて考えていきたいと思います。
おしゃぶりは使用しないほうが望ましい
おしゃぶりには否定的な意見がたくさん見られます。
そのおしゃぶりを与えない方がいいという理由を見ていきましょう。
1歯並びが悪くなる
おしゃぶりを2歳を過ぎても止めることができない場合、歯並びに悪い影響が出る可能性があります。
2歳というのは乳歯が生えそろう頃で、その時期までに止めることができれば、その後歯並びは改善されるものの、やめる時期が遅れるほど歯並びに悪影響がでます。
2 母乳育児の場合には乳頭混乱を起こす可能性がある
おしゃぶりは哺乳瓶での授乳と同じように乳頭混乱をおこしやすいそうです。
また、おしゃぶりは同じ吸う動作でも母乳とは吸い方が違うためおしゃぶりを常にしゃぶっていると母乳の吸い方が下手になることがあります。
3 おしゃぶりが癖になりやめられなくなる
日常的におしゃぶりをくわえているとおしゃぶり依存の状態になりやすく、おしゃぶりがないと不安になってしまいます。
そうなるとおしゃぶりをやめるのが難しくなり2歳以降もおしゃぶりから離れられなくなってしまいます。
4中耳炎になる
哺乳瓶による授乳と同じく、おしゃぶりを使用している赤ちゃんは中耳炎になるリスクが高くなります。
5 言葉を話すのが遅れる
おしゃぶりを常にくわえさせていると、ママやパパとのコミュニケーションも少なくなり、発語の機会が減少しがちになります。
そのような赤ちゃんでは言葉を覚えて話し始めるのが遅くなる可能性があります。
このようにおしゃぶりには様々なデメリットがあります。
日本小児歯科学会でも必要でないならば、できるだけおしゃぶりは与えない方が良いという見解がでています。
http://www.jspd.or.jp/contents/main/proposal/index03_04.html#pro04 日本小児歯科学会HP
このようにおしゃぶりはできるだけ使わない方が良いという意見が多数あります。
赤ちゃんによってはおしゃぶりも指しゃぶりも全くしないという子もいます。
そのような赤ちゃんには無理におしゃぶりを与える必要はありません。
おしゃぶりは常用すると依存性があるので、やめるときに苦労するという話もよく聞きます。
ですから、もしおしゃぶりなしで過ごせるのであればその方が良いでしょう。
しかし反対におしゃぶりは使い方を間違わなければメリットも多数あるという意見もあります。
おしゃぶりを使うメリット
1 泣き止む
赤ちゃんが泣いている理由は様々なものがありますが、考えられる理由を全て満たしてもなぜか泣いているという場合があります。
このようなときにおしゃぶりで少しでも落ち着いてくれれば赤ちゃん自身も楽ですし、外出中などで泣き声に気を使わなければならないようなときにおしゃぶりで泣き止んでくれれば、ママやパパにとってもストレスにならずにすみます。
2 入眠しやすくなる
赤ちゃんの場合、眠いのに眠れずに泣き叫んでしまうということもよくあります。
このようなときにおしゃぶりがあれば、精神的に落ち着き入眠しやすくなります。
3 乳幼児突然死症候群の防止
全米小児科学会による勧告によると、明確な理由は不明であるものの、生後1年までの乳児の就寝時におけるおしゃぶりの使用は乳幼児突然死症候群(SIDS)を予防する効果が見られると発表されています。
http://pediatrics.aappublications.org/content/early/2016/10/25/peds.2016-2938 全米小児科学会HP
特に入眠時や就寝時におしゃぶりを使用することが乳幼児突然死症候群の防止に効果的だということです。
おしゃぶりを使う場合の注意点
では、おしゃぶりを使う場合に注意しておきたい点について見ていきましょう。
1常用はしないようにする
泣いたらすぐにおしゃぶりを与えるという使い方はあまりよくありません。
まずは赤ちゃんの泣いている理由を考えて、できるだけおしゃぶりを使わずに対処してみるようにしましょう。
そして、考えられる対処を全てしてもなおヒートアップしてしまっているようなときに限り、おしゃぶりを与えるようにします。
2 生後2年半までにはやめるようにする
おしゃぶりのデメリットのひとつに歯並びが悪くなるということがあります。
これは乳歯が生えそろう2歳半以降もおしゃぶりを使い続けることが原因の1つになっています。
ですから、おしゃぶりを使う場合には2歳半までにやめるようにします。
3 母乳育児が軌道になるまでは使わない
おしゃぶりは母乳育児にとってマイナスになる可能性があります。
ですので母乳育児をしていて、おしゃぶりを与える場合には母乳育児が軌道に乗ってから与えるようにします。
まとめ
おしゃぶりの使用については歯科的な立場、母乳育児推進の立場、乳幼児突然死の予防の立場、赤ちゃん自身やその両親の心の安定からの立場とその立ち位置によって賛否が様々にあることがわかります。
赤ちゃんの個性によっておしゃぶりや指しゃぶりを全く必要としないこともあり、そのような時には無理におしゃぶりを使う必要は全くありません。
しかし、新生児期から指しゃぶりを頻繁にするタイプの赤ちゃんで指しゃぶりやおしゃぶりで泣き止んだり、眠りやすくなったりするようであればおしゃぶりの使用を考えてもいいかもしれません。
しかしその場合にも
1、歯並びのために2歳半までにやめる
2、母乳育児に悪影響を与えないようにおしゃぶりは母乳育児が軌道に乗ってから与える
3、おしゃぶり依存にならないように、常時おしゃぶりを与えることはせず本当に必要な時のみあたえる
4、発語が遅れたりしないように、泣いたらおしゃぶりを与えるといった使い方は避け、できるだけ赤ちゃんとのコミュニケーションを通して泣き止むようにさせる
といった点を注意することでおしゃぶりは絶対に避けるべきアイテムではないと考えます。
赤ちゃん自身が常に不安や精神的なストレスを感じてギャン泣きが長く続くよりは、指しゃぶりやおしゃぶりで精神的な安定を長く保てるほうが赤ちゃん自身にとってもいいことかもしれません。
また、育児ストレスに押しつぶされそうなママやパパにとっては少しでも赤ちゃんがご機嫌でいてくれるほうが、赤ちゃんに対して寛容で優しくなれるのではないでしょうか?
どんな育児アイテムも使い方次第で良くも悪くもなるので、おしゃぶりもそういったアイテムの一つと考えてもいいかもしれません。