妊活中から鉄をしっかり摂って、鉄分不足や貧血を改善しておきましょう!

ほうれん草やプルーンなどにたくさん含まれているイメージのある鉄分
女性は男性よりもたくさんの鉄分を摂らなければいけないのをご存知でしょうか?
ただでさえ食事の量が男性よりも少ないのに鉄分は多く摂らなければならないので、女性は鉄不足になりやすいのです。
そして鉄分は妊娠によってさらに不足しやすくなりますが、それを防ぐには妊活中からの対策が大切です。
今回は妊活中から始めたい鉄分不足対策について考えていきたいと思います。

女性は鉄分不足になりやすい

日本の女性の10%は鉄欠乏性貧血を発症しているそうです。
また、日本の女性の40%はその前段階である潜在性鉄欠乏(隠れ貧血)といわれています。
つまり、日本の女性全体のの2人に1人は鉄分が足りていないということになります。
女性は月経などで体内の鉄分を失いやすく、食事からとる鉄分も男性より少ないため一層鉄分不足になりやすくなります。
さらに妊娠中では通常の2倍以上の鉄が必要になり、健康な女性でも鉄分不足になりやすくなります。

鉄は体内の2つの場所にある

鉄は体内でその約70%が血液として蓄えられています。
血液中の鉄は赤血球の中のヘモグロビンに存在し、身体中に酸素を運ぶ役割をしています。
残りの約30%は肝臓や脾臓、骨髄などに蓄えられており、貯蔵鉄と呼ばれています。
貯蔵鉄は血液中の鉄分が足りなくなった時などに使われます。
血液中の鉄分が不足している鉄欠乏性貧血では、血液のみならず貯蔵鉄も枯渇している状態になっています。

鉄分が不足するとどうなる

鉄分は体に酸素を運ぶ役割をしています。
そのため鉄分が不足すると血液中の酸素が少なくなり、酸欠になります。
鉄分が不足した場合は、倦怠感、息切れする、疲れやすいなどの症状が出ます。
重度になると爪が変形したり、肌トラブルが増えたり、免疫力が落ちて体調を崩しやすくなります。

お腹の赤ちゃんへの影響は?

では妊娠している女性の場合にはお腹の赤ちゃんへの影響はないのでしょうか?
軽度の鉄欠乏性貧血ではお腹の赤ちゃんにそれほど重大な影響はないと考えられています。
それは、ママの鉄分を優先的に胎児に供給するため、ママは鉄が不足していてもお腹の中の赤ちゃんまで鉄が不足することはないからです。
しかし、重度の貧血の場合にはお腹の赤ちゃんにも影響がでることがあります。
鉄分の不足によって赤ちゃんが早産になったり、低体重になったりすることがあります。

鉄分不足の解消には時間がかかる

妊活中に鉄不足であったとしても、軽度であればお腹の赤ちゃんいそれほど影響が及ばないのであれば、妊娠がわかってから鉄分をしっかりとればそれほど問題はないように感じますが、どうなのでしょうか?
ところが、鉄分はしっかりと摂ればすぐに回復されるというものではありません。
鉄欠乏性貧血の治療のための鉄剤を飲んだ場合、鉄が体に吸収されて赤血球が増え、ヘモグロビンが正常値になるまでには2ヶ月から6ヶ月ほどの時間が必要になります。
妊娠がわかってから貧血を改善しようとすると、早くても妊娠後期にならないと改善されないことになります。
また妊娠中はつわりなどで、鉄剤が飲めなかったり、鉄分の豊富な食事が食べられないこともあり、その場合ますます鉄不足になってしまいます。
妊娠時の初期にに比べ、中期から後期には鉄の必要量も増加するので、妊娠後の鉄不足解消は難しくなります。
ですから、できるだけ妊活中から鉄分の多い食事をしっかりと摂って、鉄不足は改善しておくほうがよいでしょう。
もしも鉄欠乏性貧血の疑いがあるなら、早めに病院を受診して鉄剤などを処方してもらいましょう。

葉酸、ビタミンB12、ビタミンB6、が不足しても貧血になる

貧血には鉄欠乏以外にも幾つかの栄養素が原因となる貧血があります。
葉酸、ビタミン6、ビタミンB12は赤血球やヘモグロビンを作るために必要な栄養素です。
巨赤芽球性貧血はこれらの栄養素が不足した時に起こる貧血です。
貧血の予防には鉄分だけではなくこれらの栄養素をしっかりと食事から摂ることが大切です。
葉酸についてはこちらの記事をどうぞ

鉄分が多く含まれる食材

日本女性の1日に推奨されている鉄の摂取量は10.5mgです。
妊娠中期から後期では21mgと2倍の摂取量が必要になります。
しかし、鉄分の体への吸収率はあまり高くはないのです。
ですから、妊娠中はもとより妊娠前から鉄分の多い食材を意識して摂る必要があります。

鉄分には「ヘム鉄」「非ヘム鉄」の2つがある

では鉄分の多い食材にはどのようなものがあるのでしょうか?
その前に鉄分には「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の2つがあるのをご存知でしょうか?
この2つの違いは体内への吸収率にあります。
「ヘム鉄」は動物性の食品に多く含まれており、体内への吸収率が15%〜30%あるのに対し、「非ヘム鉄」は植物性の食品や乳製品、卵などに多く含まれており、体内への吸収率が5%未満となっています。
鉄分を食事から効率よく摂り入れるには「ヘム鉄」をふくむ食品を多く摂るほうがよいでしょう。
しかし、ビタミンCやたんぱく質などを同時に摂ることで「非ヘム鉄」も体内への吸収率を高めることができます。

ヘム鉄の多い食品

吸収率の良いヘム鉄は主に動物性の食品に多く含まれるが、その中でも肝臓や内臓などに鉄分が多く含まれています。
ただし、レバーは鉄分も多いですが、ビタミンA(レチノール)もとてもたくさん含まれています。
ビタミンA(レチノール)は妊娠初期に摂りすぎるとお腹の赤ちゃんに悪い影響が出ることがありますので、摂りすぎ注意です。
ビタミンA(レチノール)についてはこちらの記事でも解説しています。
また、食品ではないものの鉄鍋や鉄フライパンなど、鉄製の調理器具で調理することで「ヘム鉄」を摂取することができます。
鉄鍋などでの調理では酸性の調味料を使って煮込む調理をすることでよりたくさんの鉄を料理に溶かし込むことができます。
食品100g中
豚レバー
13.0mg
鳥レバー
9.0mg
かたくちいわし(煮干し)
18.0mg
かつお削りぶし
9.0mg
あゆ(内臓)
24.0mg

非ヘム鉄の多い食品

非ヘム鉄は吸収率があまり良くないがビタミンCやたんぱく質、酸性の食品などと一緒に食べると吸収率が上がります。
食品100g中
青のり(素干し)
77.0mg
岩のり(素干し)
48.3mg
しじみ
8.3mg
卵黄
6.0mg
小麦はいが
9.4mg
アマランサス
9.4mg
大豆
6.8mg
ごま
10.0mg
きくらげ(乾)
35.2mg

鉄分の吸収を助ける栄養素と阻害する栄養素

体内への吸収率があまり良くない非ヘム鉄ですが、ビタミンCやたんぱく質、酢などの酸性の食品と一緒に食べることで鉄分摂取の比率を上げることができます。
反対にお茶などにに含まれる「タンニン」やほうれん草などに含まれる「シュウ酸」、「カルシウム」などは鉄の体への吸収を阻害するので、鉄分摂取のためには一緒に食べないほうが良いでしょう。

妊活中からの対策が大切

女性は月経など、男性とは違って毎月血液から鉄が失われるので普段から鉄分を多く摂取する必要があります。
しかも、妊娠中の女性ではお腹の赤ちゃんが大きくなるにつれて必要とされる鉄分が妊娠前の2倍にもなります。
鉄分は体内への吸収率が悪く、鉄分を摂取してもすぐに鉄不足が解消されることはありません。
さらに妊娠中はつわりで食欲がなかったりして十分な鉄分を摂取できないこともあります。
ですから、妊娠前の妊活中から鉄分が不足しないように食事からしっかりと鉄分を取っておくことが大切です。