生後3ヶ月の子が指しゃぶりを頻繁にしているために手荒れがひどくて、見ていて痛々しい感じになっている場合にはどうしたらいいのでしょうか?
そもそも赤ちゃんの指しゃぶりに対してはどのように対応したらよいのでしょうか?
指しゃぶりは赤ちゃんの発育に欠かせない行為であるといった意見や、癖になると止められず、歯並びに悪影響を及ぼすので早めにやめさせるべきだ、という意見もあります。
赤ちゃんの指しゃぶりはそのままにしておいてもいいのでしょうか?それとも早めにやめさせた方がいいのでしょうか?
今回は生後3ヶ月の赤ちゃんが指しゃぶりをする理由と指しゃぶりが赤ちゃんに及ぼす弊害とその対策について考えていきたいと思います。
指しゃぶりはなぜするのか?
赤ちゃんはなぜ指しゃぶりをするのでしょうか?
まずはその理由について見ていきます。
1 本能的に
赤ちゃんの中にははお母さんのお腹にいる頃から自分の指をしゃぶる子がいることが知られています。
これは吸啜反射によるもので口の周りのものに吸い付く赤ちゃんの本能によるものです。
この吸啜反射はお母さんのおっぱいを飲む動作に必要な本能的な反射です。
この本能によって赤ちゃんは身近にある自分の手や指にも吸い付いてしゃぶるようになります。
2 初めてのおもちゃ
生後3ヶ月ころになると赤ちゃんにとって、自分の手は最も身近なおもちゃになります。
この時期の赤ちゃんにはまだ、自分の手が自分のものであるという認識がないので、目の前にある手を不思議そうに眺める行動をし始めます。
これを「ハンドリガード」といいます。
さらに、赤ちゃんは自分の手を口で舐めてみたり、指をしゃぶってみたりして、舐める感触と舐められる感触の両方を感じて、次第に自分の手が自分の身体の一部であるという認識を持ち始めます。
これらの行動は赤ちゃんにとって様々な学びの機会となる重要な成長の過程です。
3 精神安定剤
眠い時、寂しい時、不安な時などに指しゃぶりをすることで気持ちが落ち着いたり、眠りに入りやすくなったりします。
この時の指しゃぶりは赤ちゃんが自分で自分の気持ちを落ち着かせるために行う、精神安定剤の役割を持っています。
赤ちゃんはママのおっぱいを飲んでいる時、脳内にオキシトシンという幸福感を感じるホルモンがでていますが、オキシトシンは指しゃぶりをしているときにも出ており、気持ちを落ち着かせてくれるのです。
4 空腹
お腹が空いていてママのおっぱいが飲みたい時には代わりに指しゃぶりをすることがよくあります。
5 免疫力をつける
指しゃぶりには赤ちゃんの免疫力を高める効果もあります。
赤ちゃんの手についたウイルスや細菌を口にすることで免疫力が高まります。
ニュージーランドオタゴ大学の研究によると指しゃぶりや爪噛みをしていた子はそうでない子と比べて大人になった時にアレルギーになるリスクが低かったという結果が出ています。
参考ページ:http://pediatrics.aappublications.org/content/138/2/e20160443
赤ちゃんの指しゃぶりにはこのような様々な理由があり、月齢によっては利点も数多くあります。
しかし、指しゃぶりは年齢が上がってくると歯並びへの悪影響など、利点よりも弊害が目立つようになってきます。
また、指しゃぶりは癖になりやすく、やめられなくなる事もあるので注意が必要です。
指しゃぶりの弊害
乳児期の指しゃぶりには利点も多くありますが、次第に弊害も増えてきます。
1 指や手が荒れる
指しゃぶりをしていると当然ですが、指や手が肌荒れしてきます。
冬など乾燥しやすい季節にはあかぎれのようになって出血したりして痛々しい感じになってしまいます。
2 歯並びが悪くなる
指しゃぶりのもっとも大きな弊害が歯並びが悪くなる事です。
永久歯が生えてくる頃になっても指しゃぶりをしている場合には歯並びへの影響が心配されます。
上下の前歯の間に隙間ができて前歯が閉じなくなったり、出っ歯になるなど歯並びが悪くなりやすくなります。
歯並びが悪いと外見も良くありませんが、他にも言葉の発音が上手くできなくなったり、口呼吸となって病気になりやすくなったりします。
参考:http://www.jspd.or.jp/contents/main/proposal/index03_05.html (日本小児歯科学会HP )
3 感染症にかかりやすい
いくら免疫がつくといっても、不潔な手のまま指しゃぶりなどを行った場合には感染症などにかかりやすくなります。
指しゃぶりにどう対応したらいいのか?
次に指しゃぶりへの対応を見ていきましょう。
1手荒れ対策
生後3ヶ月くらいの赤ちゃんでは、指しゃぶりは大切な学びの機会でもあるので無理にやめさせる必要はありません。
しかし、あまりに手荒れがひどい場合には一時的にミトンなどを使って、手荒れが治るまでの間、直接指をしゃぶれないようにするのも1つの方法です。
2歯並び対策
1~2歳になると退屈している時や夜の入眠時以外の指しゃぶりは少しずつ減ってきます。
しかし、3歳を過ぎても頻繁に指しゃぶりをしているようなら、歯並びへの影響や心理的な原因なども心配になってきますので、小児科や小児歯科、臨床心理士などへの相談が必要になってきます。
2歳をすぎて指しゃぶりをやめさせたい時には「指しゃぶり防止手袋」や「指しゃぶり対策マニュキュア」や「指しゃぶり防止クリーム」などを使ってみるのもいいでしょう。
3 感染症対策
外出時など手が不潔になりやすい時には赤ちゃんの手をまめにウェットティッシュなどで拭いてあげて清潔な状態にしてあげましょう。
指しゃぶりによって免疫がつくとはいっても、赤ちゃんの周りを不潔な状態にするのは良くありません。
あくまで清潔な環境で自然に手についた程度の細菌を口にする程度で十分です。
まとめ
生後3ヶ月程度のまだ月齢が低い赤ちゃんの場合には指しゃぶりについては特に問題はなく、むしろ成長や発達にとって利点も数多くあります。
この時期の指しゃぶりは手荒れや肌荒れが起きてしまった時などを除いてはやめさせる必要はなく、一次的な手袋の使用などで対応するのが良いようです。
1~2歳までには指しゃぶりをすることは少しずつなくなっていきますが、3歳を過ぎても指しゃぶりが頻繁にある場合には心理的な原因や、歯並びなどへの影響も考えて小児科、小児歯科、臨床心理士などへの相談が必要になってきます。
2歳すぎて指しゃぶりを卒業してほしいときには「指しゃぶり防止グッズ」などを使ってみるのも方法の1つです。